VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

第2回 VBP実践ワークショップの終了のご報告と御礼

本日、第2回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップが開催されました。今回は、多職種でのチーム構成を重視し、医師・理学療法士作業療法士・心理士などバラエティーに富んだ職種の皆様にご参加いただき、下記の目標とコンテンツで開催しました。

 

ワークショップの目標

  1. VBPの10のプロセスを理解する
  2. 価値の多様性を理解できる
  3. 患者の価値を引き出すスキル(ICE-StAR)の重要性を知る
  4. VBPにおける多職種での議論が有用であると知る

コンテンツ

レクチャー「価値に基づく医療の概要と10のプロセス」 

グループワーク(価値への気づき)

模擬多職種カンファ(前半)

レクチャー「ICE-StAR」

模擬多職種カンファ(後半)

FB pageでWSの様子をご覧いただけます。

 

参加者の皆様のご感想

「多職種での議論で価値の多様性に気づいた」

「様々な職種の価値が相乗的に作用することが分かった」

「ポジティブな価値が困難事例を打開するきっかけになりうるのがわかった」

「自分の職種と違う役を演じることで、その立場を理解できた気がする」

 

積極的なご参加、ご議論を頂くともにWSに高い評価も頂き主催者も大変嬉しく思っております。今後も継続的に開催させて頂きますので、今回ご参加頂けなかった皆様も、本ブログとFBでフォローをお願いできればと存じます。

今後も、価値に基づく診療を皆様と一緒に学んでいければと思っております。

EBMはVBPのパートナーPart2 〜軋む車輪の原則〜

今回は、VBPの10のプロセスの8つ目、軋む車輪の原則を解説する。これは前回の二本の足の原則と対(ペア)になる考え方である。

 二本の足の原則は、「エビデンスを考えるときには、価値も同時に考えよ」という意味であったが、これに対して、軋む車輪の原則は、「価値に注意を払っているときにも、エビデンスを忘れてはいけない」というメッセージを発している。

 「軋む車輪」は、日本人には中々馴染めない言い回しであるが、英語のことわざに由来する。The squeaky wheel that gets the grease(軋む車輪には油をさされる)は、「自己主張をすることで周囲からの注意を引きつけることができる」、ということを意味する。

 すなわち、ヘルスケアにおいて、価値ばかりが音を立てて周囲の注目を集めているときには、医学的な事項(エビデンス)から目が離れてしまうリスクがあるということを指摘している。ときに、患者の心理社会的側面や倫理的観点に議論が集中しているときに、肝心な医学的側面の評価が十分になされていないということはしばしば経験される。

 これは家庭医療学において、生物心理社会モデル(Biopsychosocial Model: BPS model)が重要視される背景とも関連すると考えられる。昨今話題となっている「見なし末期」も同様の枠組みの中で議論できるかもしれない。「本人の意志」、「家族の希望」、「乏しい社会資源」などが過度に前面に立つことで、医学的評価が忘れ去られるということに歯止めをかけるのが軋む車輪の原則であろう。

 価値という多様性、複雑性、不確実性の高い事柄にアプローチする際には、生物学的・医学的な考察とのバランスが殊に重要であることは容易に理解できる。いずれにしても、やはり、EBMはVBPの重要なパートナーであると言えるのは間違いない。

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満員御礼:第2回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップ参加者募集終了のお知らせ

 

第2回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップは、お陰様を持ちまして、参加希望が定員に達しましたので、募集を終了させて頂きました。

多数のご応募誠にありがとうございました。

 

第3回ワークショップは平成29年3月2日〜3日の第9回日本医療教授システム学会総会との共催での企画を準備しております。今年最も熱い広島での開催となります!

http://jsish.jp/mtg/program/

詳細決まり次第こちらのブログとFBにてご案内申し上げます。

今回、参加頂けなかった皆様におかれましては、こちらのブログをチェック頂くか、Facebook pageを「いいね」頂くと、募集案内された際にスムーズにお知らせが届くかと存じます。

 

お陰様を持ちまして本ブログはこれまでに5000を超えるアクセスを頂いております。

今後も皆様とともにVBPを学んで行ければと考えております。