VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

多職種チームワーク

前回までVBPにおける専門職同士の関係性に関わる2つの側面のうちの1つ目、当人の価値中心の医療を4回シリーズでご紹介した。今回は2つの側面の2点目、多職種チームワークを概説する。これはVBPの10のプロセスの6段階目に位置付けられている。

近年、多職種連携(Inter-professional Work: IPW)が注目されている。その背景としては医療の複雑化・高度化により表面化してきた以下の要素が論じられている(文献1)。

 1) 個人で仕事を行うことの限界性

 2) 専門職の縦割りで業務を行うことの限界性

 3)  「患者の疾病」のように、領域を一つに絞って医療を行うことの限界性

IPWとVBPは親和性が高いとされているが、そこには価値が多分に関与している。VBPはバランスのとれた意思決定をゴールとした枠組みであるが、そのためには、多様性のある様々な価値の視点(perspective)からの議論が重要である。異なる価値が存するためには「チームであること」が必要不可欠であり、異なった専門職による役割と背景が目を見張るような異なった価値をその場にもたらすことがある(文献2)。すなわち、異なった専門職が結集することによりチームが有する知識や技術が向上するだけでなく、チームとしての価値のキャパシティーが広がり、チームメンバーの多様な価値を効率的に活用した診療が実現できる。

2016年に日本国内のIPWの専門家らにより、「医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー」が定められた(文献3)。そのコアドメインの1つとして、職種間コミュニケーションを挙げ、「患者・サービス利用者・家族・コミュニティのために、職種背景が異なることに配慮し、互いに、互いについて、互いから職種としての役割、知識、意見、価値観を伝え合うことかができる。」と説明しているのは、非常に興味深い。

かつては、専門職間の価値の違いは「壁」と称され、IPWが発展しない要因とも考察されていたが、価値が異なることはむしろIPWの強みでもあると言えるかもしれない。そして、言うまでもなく、多職種チームワークはVBPの要である。

そういった背景から、我々のグループが主催しているVBP実践ワークショップでは、模擬多職種カンファをコアコンテンツと定めています。次回は来月の12/7(1枠空いております)、その次は3月に広島で予定しております。ふるってご参加ください。

 

文献1:佐伯知子. IPE (InterProfessional Education) をめぐる経緯と現状, 課題: 医療専門職養成の動向を中心に. 京都大学生涯教育フィールド研究 2:9-19, 2014

文献2:Colombo, A., et al. "Evaluating the influence of implicit models of mental disorder on processes of shared decision making within community-based multi-disciplinary teams." Social science & medicine 56.7 (2003): 1557-1570.

文献3:多職種連携コンテンシー開発チーム. 医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー . Available from: http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/mirai_iryo/pdf/Interprofessional_Competency_in_Japan_ver15.pdf

広告を非表示にする