VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

各論1: 4つの臨床スキル

どのようにして患者の価値を聴き出すのか?〜キラリと光るICE-StARの尋ね方〜

前回、前々回で、価値を引き出すスキルとしてICE-StARを事例をもとにご紹介した。 「では、どのようにしてICE-StARを聴き出すのか?」と疑問に思われた方も多いとだろう。そこで、今回は医療面接でのICE-StARの具体的な尋ね方をお示ししたい。 Ideas(考え)…

ICE-StARに注目した価値に基づくこどもの発熱診療〜Episode 2〜

前回〜Episode1〜より続く。 星先生:「先生、ICE-StAR勉強してきました!」 郡先生:「お、いいね〜。あの事例のICE-StARを挙げていこうか。まずはICEを書き出してみて」 Ideas(考え) :高熱はこどもの頭に良くないのでは。 Concerns(心配) :高熱でこ…

ICE-StARに注目した価値に基づくこどもの発熱診療 〜Episode 1〜 

今回はVBPを実診療でどう使うのか、教育という側面から事例をもとに2本立てでご紹介したい。 K市立病院の救急外来での話、2年目初期研修医の星先生と救急専攻医の加地先生が当直をしていた。準夜から続いた救急外来の混沌も落ち着いた午前3時、2人はようや…

知識

VBPの4つの臨床スキルの3つ目は「知識」である。特に情報検索を通じて問題解決を図ることを指す。 中年男性の糖尿病患者の価値について知識を得るために、Pubmedでdiabetesとvaluesの2語で試しに文献検索してみる。37000件の文献にヒットし、ここから、年齢…

推論

4つの臨床スキルの2つ目である推論(reasoning)の方法論として、VBPでは事例検討が推奨されている。 事例検討はJonsen, A.R.とToulmin,Sとが「生命倫理に関する米国大統領府委員会」での経験をもとに考案し(1988年)、その後、臨床の場で利用できるように…

価値への気づき

VBPの4つの臨床スキルのうち、1つめは価値への気づき(awareness of values)である。これは、読んで字のごとく、「その人」の価値に気づくこと、そのものであるが、実は奥深い。「その人」は、もちろん患者であっても良いし、その家族でも良い、医療チーム…