VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

VBPはどう用いればよいか

2年ぶりぐらいに,少しこのブログも動かしてみようと思います.VBPはどのように用いればよいか,どの程度役に立つかについて,なかなか現実的な説明が難しいなと思っていたのですが,ようやく整理がついてきた気がしたので. 自分がVBPを学び,臨床実践に向…

御礼:第7回VBPワークショップのご報告

11/18(土)に東京大学本郷キャンパスにて第7回VBP実践ワークショップを開催いたしました。 今回から新しい企画として、模擬患者さんとの「2回目」の多職種カンファレンスの時間を設けました!1回目の多職種カンファレンスの省察を活かして、2回目の多職種カン…

治療における臨床推論②

前回は治療内容を決定するまでの大まかな推論プロセスを見てきたが、実際の現場では決定した治療やマネジメントを開始したあとから、再度情報収集や整理をし、鑑別診断や重症度、治療内容を吟味しなおすことがある。TLC modelで言い換えると『介入と評価の過…

治療における臨床推論①

しばらく期間が空いてしまったが、臨床推論(clinical reasoning)についての基本的な理論の話の続きとして、「治療における臨床推論」について前回までの復習と一緒に見ていこう。 まず、前々回の復習になるが、臨床の流れとして、①診断 → ②介入(治療・マ…

募集:第7回価値に基づく診療実践ワークショップ参加者募集のご案内

お待たせしました!11月18日開催の第7回VBPワークショップの参加者の募集を開始します。今回も皆様にもっと学びを深めていただけるよう新たな多職種連携のシナリオとして在宅医療の現場をテーマとした内容を作成中です。また、好評いただいております模擬患…

御礼:第6回VBPワークショップのご報告

去る9/23(土)、三重大学医学部附属病院にて第6回VBP実践ワークショップを開催いたしました。 今回は三重大学医学部医学系研究科家庭医療学分野/地域医療学講座の皆様にご協力いただき開催させていただきました。日頃の診療から他職種連携を意識し実践されて…

単行本でVBPが紹介されました!

今月南山堂より発売になりました「イナダ(研修医)も学べばブリ(指導医)になる:現場のプロと臨床推論のプロが教える診断能力アップ術」(編集:林寛之、大西弘高)の中で、VBPが紹介されました。 この単行本は研修医がよく遭遇する事例について、臨床家…

御礼:第5回VBPワークショップのご報告

去る7/22(土)に第5回VBP実践ワークショップを開催いたしました。 今回は、①模擬多職種カンファランスの事例を新たなものを使用し、②高齢者における意思決定に向けたSwiss Cheeseモデルを導入、③そして、何と言っても模擬患者さんに登場いただき、模擬家族…

第5回 価値に基づく診療実践ワークショップ予告編

7月22(土)に迫りましたVBPワークショップの予告編です。ワークショップの目標とスケジュールは以下のとおりです。 ワークショップの目標 VBPの10のプロセスを理解する 価値の多様性を理解できる 患者の価値を引き出すスキル(ICE-StAR)の重要性を知る VBP…

再掲:第5回 価値に基づく診療実践ワークショップ参加者募集のご案内

第5回となりました VBPワークショップのご案内です。今回は、多職種連携の重要性や難しさを理解していただくために、新たなシナリオを開発中です。また、ディスセンサスについての学びを深めるために、模擬患者さんにも登場いただきます。充実のワークショッ…

第5回 価値に基づく診療(Values-based Practice)実践ワークショップ参加者募集のご案内

第5回となりました VBPワークショップのご案内です。今回もさらなるバージョンアップを図っておりますので、これまでに参加された皆様もお楽しみいただけます。多職種の皆様のご参加をお待ちしております。 日時 平成29年7月22日(土)14:00~17:00(13:30受…

救急診療と「治療・マネジメントも含めた臨床推論モデル(Three-Layer Cognitive Model)」

本ブログで以前、ご紹介した「治療・マネジメントも含めた臨床推論モデル(Three-Layer Cognitive Model)」と救急診療との関連について論じたい。 臨床推論は、一般外来などでの病態の安定した患者の鑑別診断を中心として議論されることが通常であったと思…

「ブログVBP的診療推論」のトリセツ

高松でのVBPワークショップの後に、多くの皆様よりVBPの学び方についてご質問頂いておりますので、今回はそのご紹介をさせて頂ければと思います。 その1:書籍. 価値に基づく診療. VBPのバイブル的な本です。 なかなか読み応えのある本ですが、読み方のおす…

御礼:第4回 VBPワークショップ (@プライマリケア連合学会 in高松)

去る5/12(金)、プライマリケア連合学会プレコングレスワークショップとして第4回VBP実践ワークショップが開催されました。今回は、模擬多職種カンファランスの事例を新たなものを使用し、医師・薬剤師・理学療法士・作業療法士などバラエティーに富んだ職…

いよいよ明後日!! VBPワークシップ(@プライマリケア連合学会:高松)

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会のプレコングレスワークショップ(Pre-WS14)として、価値に基づく診療ワークショップが開催されます。 事前登録は締め切られておりますが、見学は自由となっておりますので皆様お立ち寄りください。今回よりバー…

治療・マネジメントも含めた臨床推論モデル:Three-Layer Cognitive Model

まずは、前回の復習をしてみよう。 臨床推論の定義は、臨床推論の定義は「患者の生じた健康問題を明らかにし、どのような対応をすべきか意思決定するために、問題点を予測し、論じること」であった。すなわち、患者の臨床問題の解決が、臨床推論の核となる。…

臨床推論入門(二重過程理論:dual process theory)

今回からは論点を臨床推論(clinical reasoning)に移し、その基本的な理論を学んでいきたい。 まず、臨床推論における二重過程理論(dual process theory)を概説する。この理論は、直感的なアプローチ(intuitive approach, System1とも呼ばれる)と分析的…

明日が事前登録最終日!!:価値に基づく診療ワークショップ

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会のプレコングレスワークショップ(Pre-WS14)として、価値に基づく診療ワークショップが開催されます。明日(3/29)が事前登録最終日となっております。今回よりバージョンアップしますので、過去に参加された皆さ…

たった今、10000アクセス達成しました!!

ついにこの時がやって来ました。 世界中でただ一人、私、管理人だけがこの瞬間を待っていたと思います。 今年、5月にこのブログを開設しておよそ10ヶ月、皆様にご愛顧頂き、 たった今、アクセス数が10,000に達しました。 ありがとうございます。 本ブログは…

第4回 価値に基づく診療ワークショップ参加者募集のご案内

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会のプレコングレスワークショップとして、価値に基づく診療ワークショップが開催されます。 今回はバージョンアップしますので、過去に参加された皆さまもお楽しみいただけます! 日時 2017年5月12日(金)15:00~1…

第3回 VBP実践ワークショップ in 広島 御礼

本日、第9回日本医療教授システム学会総会教育企画として第3回VBP実践ワークショップが開催されました。今回も、医師・看護師・作業療法士などバラエティーに富んだ職種の皆様にご参加いただき、下記の目標とコンテンツで開催しました。 ワークショップの目…

意思決定におけるパートナーシップ〜ディスセンサス〜

今回は、VBPの10プロセスの最後、「パートナーシップ」である。 ここでのキーワードは「ディスセンサス」に尽きる。一般に、会議などの議論の場では、そのテーマについての「コンセンサス」が得られることが主眼とされる。議論をかわす過程で、それぞれの考…

価値に基づく診療(VBP)シンポジウム御礼

去る2月12日(日)に価値に基づく診療(VBP)シンポジウムが開催されました。医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、理学療法士など多岐にわたる職種の皆様(約30名)にご参加頂きました。 今回は、共著者の尾藤誠司先生(東京医療センター)と多職種連携(IPW)…

価値に基づく診療シンポジウムのご案内(再掲)

VBPシンポジウムの再度のお知らせです。 お席まだ空いておりますので、皆様のご参加をお待ち申し上げます。 日時:2017年2月12日(日)13:30〜16:30(13:15受付開始) 場所:東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター 3F 中教室 http://www.u-tokyo.…

足し算から生まれる価値

平成29年1月13日の日本専門医機構の第9回理事会において、総合診療専門医のプログラム基本構成に関して「1年目に内科を1年間、2年目に救急を1年間、3年目に外科または小児科または内科を1年間、それぞれの専門領域の指導医の下で行い、地域総合診療医として…

VBPはEBMのパートナー Part 3〜科学主導の原則〜

今回はVBPの10のプロセスのうち9つ目、科学主導の原則を概説する。 これは端的に言うと、「高度先進医療領域での意思決定においては、エビデンスと価値の双方を考えよ」というメッセージである。 科学技術の進歩により医療界は多くの恩恵を受けてきた。その…

年末のご挨拶

今年もいよいよ残りわずかとなってきましたが、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。 本ブログは、5月に開設して以降、VBPと皆様の実臨床とをつなぐハブのような役割を目指し、更新を続けてまいりました。おかげさまをもちまして、12月28日現在で7500のア…

価値に基づく診療シンポジウムのご案内

日時:2017年2月12日(日)13:30〜16:30(13:15受付開始) 場所:東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター 3F 中教室 http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html VBP(values-based practice:価値に基づく診療)は、患者医師関係において行…

第2回 VBP実践ワークショップの終了のご報告と御礼

本日、第2回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップが開催されました。今回は、多職種でのチーム構成を重視し、医師・理学療法士・作業療法士・心理士などバラエティーに富んだ職種の皆様にご参加いただき、下記の目標とコンテンツで…

EBMはVBPのパートナーPart2 〜軋む車輪の原則〜

今回は、VBPの10のプロセスの8つ目、軋む車輪の原則を解説する。これは前回の二本の足の原則と対(ペア)になる考え方である。 二本の足の原則は、「エビデンスを考えるときには、価値も同時に考えよ」という意味であったが、これに対して、軋む車輪の原則は…