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VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

治療・マネジメントも含めた臨床推論モデル:Three-Layer Cognitive Model

まずは、前回の復習をしてみよう。

臨床推論の定義は、臨床推論の定義は「患者の生じた健康問題を明らかにし、どのような対応をすべきか意思決定するために、問題点を予測し、論じること」であった。すなわち、患者の臨床問題の解決が、臨床推論の核となる。

ここで、問題解決とは何かを考察する。認知心理学などでは、「問題の同定」、「情報収集と整理」、「仮説設定」、「仮説検証」、「解決策の利用」といったプロセスが提唱されている。このそれぞれのステップを臨床推論の文脈に当てはめると、「主訴」、「面接・診察・検査」、「診断仮説」、「鑑別診断・確認」、「治療・マネジメント」となる。

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患者の主訴を同定したのちに、医療面接・身体診察・各種検査により情報収集を行い、「心原性の胸痛っぽい」というような何らかのカテゴリーを用いた診断仮説が設定され、想起された鑑別診断を検討する仮説検証のステップに入る。このとき、情報収集・仮説設定・仮説検証は鑑別診断を何度も検討するための繰り返しの(iterative)プロセスが必要である。

例えば、患者に対しopen questionし、10秒後に診断仮説が想起される。さらなる情報を聞きつつ対立仮説を2、3個さらに想起し、それに基づいてclosed questionを行う。さらに状況に応じて診察や検査を加え、鑑別診断のrule in/rule outを繰り返すことで確定診断に至る。これらの結果をもとに治療、場合によってはさらなるセルフケアの指示や経過観察などのマネジメントを行うこととなる。これらが、問題解決という視点から捉えた臨床推論の枠組みとなる。

しかしながら、実臨床は治療・マネジメントで完結するわけではなく、その治療介入を実施するかの患者との対話、治療介入結果の評価、そして評価後に治療継続の可否を検討し、その方向性を再度患者と対話するなどの、何層にもわたる推論が行われる。2016年に大西は、それらのプロセスを包括した「治療・マネジメントも含めた臨床推論モデル:Three-Layer Cognitive (TLC) Model」を提唱した。

これは、臨床の相(phase)が進むにつれ、①診断→②介入(治療・マネジメントなど)→③介入後のモニタリング、というふうに臨床推論の様相が変化するということを意味するだけではない。経験豊富で優れた医師は、①の相において、②や③のことも考えているという意味である。

例えば、②に関する大方針として、痛みの症状が「がん」によるものであれば、治療などはしないと決めている患者がいたと仮定する。そうすれば、①については「がん」かどうかは重要だが、その合併症や転移については苦しい検査をしなくてもよいことになる。また、痛みに対しては痛み止めの処方を提案するが、例えば麻薬処方の副次効果としての便秘が予測されるが大丈夫か、といった点についても患者と共に事前に摺り合わせするといったことも事前から考えておくことになる。

これらの視点からこのTLCモデルをご覧いただき、皆様の実臨床での推論と重ねて、是非振り返って頂ければと思う。次回以降、皆様とこのモデルを少しずつ紐解いていきたい。

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大西弘高. The 臨床推論. 南山堂.2012.東京.

大西弘高. 第10回 「外傷だ~. これは, すぐに頭部CTだ~」……ではないよ! 治療.98(5):754-757,2016.

臨床推論入門(二重過程理論:dual process theory)

 今回からは論点を臨床推論(clinical reasoning)に移し、その基本的な理論を学んでいきたい。

 まず、臨床推論における二重過程理論(dual process theory)を概説する。この理論は、直感的なアプローチ(intuitive approach, System1とも呼ばれる)と分析的なアプローチ(analytical approach, System2とも呼ばれる)の2つの異なる性質の推論が相補的に作用することで、適切な意思決定(decision making)が成されることを示す。買い物を例に挙げると分かりやすい。デパートで、ある洋服が目に入り直感的に「欲しい」と思ったとする。しかし、その一方で理性的な考えも生じ、「この値段は妥当だろうか」、「この服は本当に自分に必要だろうか」、「そもそも、なぜ、自分はこの服を気に入ったのだろうか」といったような論理的な分析もなされ、直感と分析を突き合わせて、最終的にこの服を買う、もしくは買わないという意思決定が成される。

 臨床推論の領域では、直感的なアプローチにおいては、すでにネットワーク化された知識や経験に新たな情報を加えながら問題解決がなされるため、熟練者が好む手法とされ前向き推論(forward reasoning)とも言い換えられる。一方、分析的アプローチは仮説演繹法としても説明され、ある時点で想起された診断仮説が全体を説明しうるのか、情報収集をしながら検証を繰り返す手法である。後向き推論(backward reasoning)とも呼ばれ、初学者の思考プロセスに親和性が高いとされる。

 臨床推論は、診断推論(diagnostic reasoning)を中心に議論されることが通例だが、二者は同義ではない。

 臨床推論の定義は「患者の生じた健康問題を明らかにし、どのような対応をすべきか意思決定するために、問題点を予測し、論じること」とされる。

 実臨床においては診断に限らず多くの場面で推論がなされることに気づく。例えば、ある患者に治療介入するかどうか仮説設定を行いながらその適否を検討する思考プロセスも推論である。患者の問題点が明らかとなった段階で治療介入を行うことになるが、その複数の治療選択肢のリスクとベネフィットを鑑みて、どの選択肢を選ぶか、また治療介入のゴール設定を何にするか、など医療者は推論しているわけである。

 次回、この治療・マネジメントを含めた新しい臨床推論モデルをご紹介したい。

 

参考文献

1. Croskerry P. A universal model of diagnostic reasoning. Acad Med. 2009;84(8):1022-8.

2. Elstein AS, et al. Medical problem solving: an analysis of clinical reasoning. Harvard University Press, 1978.

3. Patel VL, et al: Differences between medical students and doctors in memory for clinical cases. Med Educ, 20(1): 3-9, 1986.

4. 大西弘高. The 臨床推論. 南山堂.2012.東京.

明日が事前登録最終日!!:価値に基づく診療ワークショップ

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会プレコングレスワークショップ(Pre-WS14)として、価値に基づく診療ワークショップが開催されます。明日(3/29)が事前登録最終日となっております。今回よりバージョンアップしますので、過去に参加された皆さまもお楽しみいただけます!

  • 日時

2017年5月12日(金)15:00~18:00

  • 会場 

サンポート高松 ホール棟7F 第3リハーサル室

http://www2.c-linkage.co.jp/jpca2017/access/

  • 募集人数

  36名

  • 参加費

  2000円

【開催の目的】
価値に基づく診療(values-based practice: VBP)は、臨床上の意思決定をより系統的に行うために、新たに英国で拡がりつつある方法です。特に複雑事例に対する方針を考える上で、根拠に基づく診療と 両輪で視座を提供してくれます。

このワークショップでは、価値の多様性を理解すること、価値を引き出すスキルを獲得すること、多 職種での議論の重要性を認識することといった目標を達成していただきます。

【概要】

VBP には、1.気づき、2.推論、3.知識、4.コミュニケーション技法、5.当人中心の診療、6.多職種チームワーク、7.二本の足の原則、8.軋む車輪の原則、9.科学主導の原則、10.パートナーシップという10 のプロセスが提唱されています。これらにより、価値の違いに対する相互の敬意を持った関係者によ り、共有された価値という枠組みにおけるバランスのとれた意思決定を行うことがゴールとなります。

このワークショップは、各自の価値を知るためのアイスブレーキング、複雑事例に対する模擬多職種 カンファレンスの2部構成となっています。これらの取り組みを通じて、VBP の意義を理解し、各自が それぞれの現場において多職種カンファレンスを開催する際のヒントを体得していただきたいと願っています。

 

 これまでの様子は、こちらをご覧ください。

 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

  • オーガナイザー

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師 大西弘高

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 客員研究員 野村理

  • 参加登録

参加をご希望の方は、大会のホームページからお申し込みください。

(5月12日 Pre-WS14 第6会場)

www2.c-linkage.co.jp

  • 参考学習資料

ブログ:VBP的診療推論. http://vbp.hatenablog.com

Facebook page : https://www.facebook.com/VBPed/

書籍:大西弘高, 尾藤誠司. 価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス. MEDSI.

  • 書籍の購入は必須ではありませんが、お持ちの場合はご持参ください。
  • ブログはご受講前にご覧ください。

たった今、10000アクセス達成しました!!

ついにこの時がやって来ました。

世界中でただ一人、私、管理人だけがこの瞬間を待っていたと思います。

今年、5月にこのブログを開設しておよそ10ヶ月、皆様にご愛顧頂き、

たった今、アクセス数が10,000に達しました。

ありがとうございます。

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本ブログは、ふわっとして、なかなか理解しにくい価値に基づく診療(VBP)と、臨床家の皆様の日々の診療とをつなぐことを目標として開設され、コツコツを書き続けて参りました。人気ブログには到底かないませんが、一万というアクセスを重ねられたことは、皆様のお役に少しはお役に立てているのではないかと信じ込んでいる次第です。

 

これからも皆様とともに、MADE IN JAPANのVBPを考えていければと思っております。

今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

 

第4回 価値に基づく診療ワークショップ参加者募集のご案内

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会プレコングレスワークショップとして、価値に基づく診療ワークショップが開催されます。

今回はバージョンアップしますので、過去に参加された皆さまもお楽しみいただけます!

  • 日時

2017年5月12日(金)15:00~18:00

  • 会場 

サンポート高松 ホール棟7F 第3リハーサル室

http://www2.c-linkage.co.jp/jpca2017/access/

  • 募集人数

  36名

  • 参加費

  2000円

  • 概 要

 VBP(values-based practice:価値に基づく診療)は、患者医師関係において行われる臨床上の意思決定を改善する方法論です。

 EBMを重要なパートナーとしながら、NBM、臨床倫理やプロフェッショナリズムといった分野を包含します。またコミュニケーション技法を重要なスキルとして、治療やマネジメントに関する臨床推論にも適応可能とされています。 

 このワークショップは、参加者の皆様がVBPの10のプロセスを習得し、明日からの実臨床に応用できることを目標として企画されています。

 これまでの様子は、こちらをご覧ください。

 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

  • オーガナイザー

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師 大西弘高

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 客員研究員 野村理

  • 参加登録

参加をご希望の方は、大会のホームページからお申し込みください。

(5月12日 Pre-WS14 第6会場)

www2.c-linkage.co.jp

 

  • 参考学習資料

ブログ:VBP的診療推論. http://vbp.hatenablog.com

Facebook page : https://www.facebook.com/VBPed/

書籍:大西弘高, 尾藤誠司. 価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス. MEDSI.

  • 書籍の購入は必須ではありませんが、お持ちの場合はご持参ください。
  • ブログはご受講前にご覧ください。

第3回 VBP実践ワークショップ in 広島 御礼

本日、第9回日本医療教授システム学会総会教育企画として第3回VBP実践ワークショップが開催されました。今回も、医師・看護師・作業療法士などバラエティーに富んだ職種の皆様にご参加いただき、下記の目標とコンテンツで開催しました。

 

ワークショップの目標

  1. VBPの10のプロセスを理解する
  2. 価値の多様性を理解できる
  3. 患者の価値を引き出すスキル(ICE-StAR)の重要性を知る
  4. VBPにおける多職種での議論が有用であると知る

コンテンツ

レクチャー「価値に基づく医療の概要と10のプロセス」 

事例検討(前半)

レクチャー「ICE-StAR」

事例検討(後半)

FB pageでWSの様子をご覧いただけます。

 

参加者の皆様のご感想

「価値の大切さに気づいた」

「ICE-StARは自分の診療に活かせると思った」

「今まで見ていなかった医療の面について考えるべきことがあることがわかった」

「事例を通じで体感できたのが良かった」

 

積極的なご参加、ご議論を頂くともにWSに高い評価も頂き主催者も大変嬉しく思っております。回を重ね、WSの完成度も高まったと感じる一方、新しい内容、事例に挑戦しようとも思っております。次回はプライマリケア連合学会(高松)でのプレカンファランスワークショップでの開催となります。事前登録が開催されましたら、本ブログで通知申し上げます。

今後も、価値に基づく診療を皆様と一緒に学んでいければと思っております。

意思決定におけるパートナーシップ〜ディスセンサス〜

 今回は、VBPの10プロセスの最後、「パートナーシップ」である。

ここでのキーワードは「ディスセンサス」に尽きる。一般に、会議などの議論の場では、そのテーマについての「コンセンサス」が得られることが主眼とされる。議論をかわす過程で、それぞれの考え(価値)の中で共通した事柄を抽出し、共通認識とすることがコンセンサスである。これは、Evidence based Practiceと親和性が高いことが感覚的に理解できる。例えば、5年ごとに改定される各国の蘇生ガイドラインの基となる、国際的なエキスパートが最新のエビデンスを集めて議論を重ねて作成する文書は"Consensus on Science with Treatment Recommendations"と名付けられている。これらは、それぞれのエビデンスや専門家の意見の共通項を結集したものであり、共通しなかった事柄に言及されることはない。価値という観点から論じると、コンセンサス形成の過程では、それぞれの価値の差異が解消されることを意味する。

 一方、VBPにおけるディスセンサスは、お互いが同意できないことについて合意することを意味し、価値の差異はそのままに、それぞれの特異的な状況に応じてバランスをとることである。

 最小公倍数と最大公約数との関係に例えるとわかりやすいかもしれない。映画「君の名は」の主題歌を歌うRADWIMPS「最大公約数」という歌にこんなフレーズがあります。

「何を求めるでもなく 意味を添えるでもなく つまりは探しにいこう 二人の最大公約数を 僕は僕で君は君 その間には無限にあるはずだよ 二人だけの最大公約数」

 VBPは当人のケアに関わるすべての人の価値の最大公約数を探しにいくプロセスと言っても良いでしょうか。

 

 さて、ここでVBPの10のプロセスを振り返ってみます。まず、4つの臨床スキル(気づき・推論・知識・コミュニケーション)を用いて価値情報を集め、次いで、専門職同士の関係性(当人の価値中心の医療・多職種チームワーク)の中で議論を深め、科学とVBP(二本の足の原則・軋む車輪の原則・科学主導の原則)の中でエビデンスや科学とのバランスを熟考する。そして、ディスセンサスに基づいたパートナーシップにより到達点(落とし所)を模索する、というのがプロセスとまとめることができる。

 今回で、10のプロセスの概説を終えることができました。読者の皆様ありがとうございます。本ブログのアクセス数ももう少しでなんと10,000に達します。

今後は、本ブログタイトル通り、「臨床推論」について考えていきたいと思っています。

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価値に基づく診療(VBP)シンポジウム御礼

去る2月12日(日)に価値に基づく診療(VBP)シンポジウムが開催されました。医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、理学療法士など多岐にわたる職種の皆様(約30名)にご参加頂きました。 今回は、共著者の尾藤誠司先生(東京医療センター)と多職種連携(IPW)領域のトップリーダーの春田淳志先生のご講演も頂くことができました。まず、主催者の大西よりVBPの概要とその臨床推論の発展性についてお話させて頂きました。また春田先生には、VBPと密接なIPWの学術的背景とその応用について詳しくお話頂きました。そして、尾藤先生には、共感をキーワードに関係性に基づくコミュニケーションについてダイナミックにお話頂きました。これらの講演を踏まえて事例検討を通じてVBPの臨床応用について理解を深めるという内容でございました。

Facebook pageにて当日の様子がみられます。

 

コンテンツ

価値に基づく診療と臨床推論(講義)

 多職種連携における価値の意義(講義)

関係性に基づくケアに向けたコミュニケーション(講義)

事例検討(グループワーク)

 

参加者の皆様のご感想

「医師と患者の関係のあり方、患者の意見決定のあり方について、さらに問題意識を明らかにすることがでた」

「多職種連携などVBPの本に書いてあること以外にも掘り下げてくれたのが良かった」

「患者さん、スタッフにとってそれぞれの価値がある。価値に合わせた医療とマネジメントの重要性について改めて考えました」

「よく出会う難しい事例をもとに、理想論でなく実際の場面でどうかという視点で考えることができました」

積極的なご参加、ご議論を頂くともにシンポジウムに高い評価も頂き主催者も大変嬉しく思っております。今後も継続的に開催させて頂きますので、今回ご参加頂けなかった皆様も、本ブログとFBでフォローをお願いできればと存じます。

今後は、

3/2(木)にVBPワークショップ(広島)第9回日本医療教授システム学会総会

5/12(金)にVBPワークショップ(高松)第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会

で皆様にお会いできればと存じます。今後も、価値に基づく診療を皆様と一緒に学んでいければと思っております。

価値に基づく診療シンポジウムのご案内(再掲)

VBPシンポジウムの再度のお知らせです。

お席まだ空いておりますので、皆様のご参加をお待ち申し上げます。

 

日時:2017年2月12日(日)13:30〜16:30(13:15受付開始)

場所:東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター 3F 中教室

   http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html

 

VBP(values-based practice:価値に基づく診療)は、患者医師関係において行われる臨床上の意思決定を改善する方法論である。本シンポジウムでは、臨床推論・多職種連携・倫理という側面からVBPの理解を深め、事例検討を通じて、VBPを臨床場面でどのように用いるのか参加者の皆様と議論を深めたい。

  • 募集対象

医療福祉系専門職の方

  • 参加費

無料

  • 参加登録

参加をご希望の方は、2月10日(金)までにkosaka-junko@umin.ac.jpに、以下をご記入の上お申込みください。

  1. ご氏名(ふりがな)
  2. ご所属
  3. 専門分野
  4. 卒後年数
  5. メールアドレス

<プログラム>

13:30〜13:40 開会

13:40〜14:10 価値に基づく診療と臨床推論(講義)

                   東京大学医学教育国際協力研究センター 大西弘高 講師

14:10〜14:30 多職種連携における価値の意義(講義)

                   筑波大学附属病院総合診療科 春田淳志 病院講師

14:30〜14:50 関係性に基づくケアに向けたコミュニケーション(講義)

                   東京医療センター教育研修部臨床研修科 尾藤誠司 医長

14:50〜15:00 休憩

15:00〜15:20 グループワーク導入

15:20〜16:20 事例検討(グループワーク)

16:20〜16:30 閉会

 

  • 参考学習資料
  1. ブログ:VBP的診療推論. http://vbp.hatenablog.com
  2. Facebook page : https://www.facebook.com/VBPed/
  3. 書籍:大西弘高, 尾藤誠司. 価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス. MEDSI.

(書籍の購入は必須ではありませんが、お持ちの場合はご持参ください。ブログはご受講前にご覧ください。)

 

  • 連絡先

東京大学医学系研究科医学教育国際研究センター

〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1医学部 総合中央館 2F

電話: 03-5841-3481

E-mail: kosaka-junko@umin.ac.jp

足し算から生まれる価値

 平成29年1月13日の日本専門医機構の第9回理事会において、総合診療専門医のプログラム基本構成に関して「1年目に内科を1年間、2年目に救急を1年間、3年目に外科または小児科または内科を1年間、それぞれの専門領域の指導医の下で行い、地域総合診療医として認定」する案が議論され、同年1月17日にその報告がHP上でされました。

http://www.japan-senmon-i.jp/aboutus/doc/tayori_09.pdf

  この案について、VBPという視点から考えてみたいと思います。

 本ブログでは、医療における枠組みとしてのVBPの新規性の1つは、「医療者の価値」に光を当てていること、とお伝えして参りました。

これまで2回のVBPワークショップにご参加頂いた皆様のご職種、専門領域は非常に多岐に渡ります。医師、歯科医師、薬剤師、理学療法師、作業療法師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー [順不同] の皆様にご参加頂きました。また参加頂いた医師の皆様の専門領域は、総合診療医(家庭医)、消化器内科医、救急医、集中治療医、産婦人科医、小児科医 [順不同]といった多様性に満ち、それぞれ異なる価値を背景に積極的な議論が展開されました。

 ワークショップでの議論では「個人的には・・・」という枕詞からはじまるコメント、「・・・医/・・・師の立場からは〜〜〜」というコメントが頻発します。ここから、分かることは医療者の価値には、個人としての価値、職種・専門としての価値が内在するということです。専門領域に話を絞りますと、医療者の専門領域というものは、その人の価値に非常に大きく寄与し、医療者は自分の専門を修練している間に、そのプロフェッショナルとしての価値が形成されるということを意味すると考えられます。

 さて、冒頭の案ですが、「1年目に内科を1年間、2年目に救急を1年間、3年目に外科または小児科または内科を1年間、それぞれの専門領域の指導医の下で行い、地域総合診療医として認定」された医師には、どのような価値が形成されるのでしょうか。足し算から生まれる価値とは、どういったものでしょうか。

 筆者自身も答えを見つけられておりませんが、今後、皆様と考えていければと思っております。