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VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

ICE-StARに注目した価値に基づくこどもの発熱診療〜Episode 2〜

4つの臨床スキル ICE-StAR

前回〜Episode1〜より続く。

 

星先生:「先生、ICE-StAR勉強してきました!」

郡先生:「お、いいね〜。あの事例のICE-StARを挙げていこうか。まずはICEを書き出してみて」

 

Ideas(考え)

:高熱はこどもの頭に良くないのでは。

Concerns(心配)

:高熱でこどもに障害がでるかもしれない。明日は仕事をどうしても休めない。

Expectations(期待)

:高熱がこどもの頭に何か悪い影響があるのか知りたい。明日は絶対に仕事に行きたい。

 

郡先生:「いいね。次、StARは?」

 

Strengths(強さ)

:児を一晩中寝ずに看病できる精神力や体力がある。

Aspirations(志)

:早く元気になってもらいたいという母の想い、愛情。

Resources(資源)

:しっかりした祖母がいる。

 

郡先生:「いいじゃない。テキストによるとね、ICEっていわゆる解釈モデルと同じなんだって。でも、ICEはネガティブな価値なことが多いんだよね。不安な人に共感するって必ずしも良いことだけじゃない。そこでStARが効いてくるわけ。これはポジティブな価値だから、これをうまく使うと共感だけじゃなくて支援できる。」

星先生:「ICE-StARはどんな感じで使うんですか?」

郡先生:「ICEで共感して、同時にStAR価値を使って支援するコメントをすればいいんだと思うよ。ICE-StARの情報が取れていることが前提だけどね。試しにロールプレイやってみる? 俺、お母さん役。病歴と診察をして、説明するところからやってみようか。」

 

====ロールプレイ====

星先生:さすがに40度くらい熱が高いと心配ですよね。

母親役の郡先生:はい。 こんな高熱初めてなので。頭に後遺症が残ったりしないかと思って・・・。

星先生:心配な様子はよく分かります。診察させていただきましたが、熱の原因はヘルパンギーナという夏風邪の一種で間違いないと思います。のどの腫れ方に特徴があって、診察で診断できます。

母親役の郡先生:先生、その病気を早く治す方法はあるんでしょうか?

星先生:ですよね。早く良くなってほしいですよね。そういうお気持ちとても大事だと思います。ヘルパンギーナはウイルスによる感染症なので自分の免疫力だけで3日程度で自然に熱は下がっていくので、特別な治療は必要ないと言われています。

母親役の郡先生:この熱はどうしたら、いいんでしょうか?

星先生:熱はどうしても心配になってしまうものですが、普段通りの元気さや食欲があるか、遊べるかなどの方が大事と言われています。今、こうやっておもちゃで遊べたりできているのを見ると、医者としても大丈夫だなと判断できます。今後も同じようにできているようなら、特別に心配することはないでしょう。

母親役の郡先生:明日も熱があったら保育園休んだ方がいいでしょうか。

星先生:お母さん、お仕事されてますか?

母親役の郡先生:はい。明日は絶対外せない仕事があります。

星先生:お祖母様は日中見てくださる感じですか?

母親役の郡先生:はい、大丈夫だと思います。

星先生:それは心強いですね。ヘルパンギーナは熱が長く続くことがあって、看病されているご家族の方が疲れてしまうことがあるんですが、お母さん、大丈夫そうですか?

母親役の郡先生:はい。体は丈夫な方です。母にも手伝ってもらえるので。

星先生:1つ心配なのは、のどの痛みが強くなることです。水分を摂れなくなる子がいるので、水分が摂れなくなったり、ぐったりしてきたりしたらまた受診してください。

母親役の郡先生:分かりました。説明いただいて安心しました。

====ロールプレイ終わり====

 

郡先生:「いい感じだね」

星先生:「ICE-StARいいですね。外来をこなすだけじゃなくて患者さんをサポートできた感じがします。」

郡先生:「今後、ワークショップあるみたいだよ。行ってみたら?」

 

 VBPでのコミュニケーション技術の一つであるICE-StARの使い方を事例に基づいて解説した。次回は、ICE-StARの情報をどのように患者から引き出すのか、を考えてみたい。