VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

第4回 価値に基づく診療ワークショップ参加者募集のご案内

第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会プレコングレスワークショップとして、価値に基づく診療ワークショップが開催されます。

今回はバージョンアップしますので、過去に参加された皆さまもお楽しみいただけます!

  • 日時

2017年5月12日(金)15:00~18:00

  • 会場 

サンポート高松 ホール棟7F 第3リハーサル室

http://www2.c-linkage.co.jp/jpca2017/access/

  • 募集人数

  36名

  • 参加費

  2000円

  • 概 要

 VBP(values-based practice:価値に基づく診療)は、患者医師関係において行われる臨床上の意思決定を改善する方法論です。

 EBMを重要なパートナーとしながら、NBM、臨床倫理やプロフェッショナリズムといった分野を包含します。またコミュニケーション技法を重要なスキルとして、治療やマネジメントに関する臨床推論にも適応可能とされています。 

 このワークショップは、参加者の皆様がVBPの10のプロセスを習得し、明日からの実臨床に応用できることを目標として企画されています。

 これまでの様子は、こちらをご覧ください。

 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

  • オーガナイザー

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師 大西弘高

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 客員研究員 野村理

  • 参加登録

参加をご希望の方は、大会のホームページからお申し込みください。

(5月12日 Pre-WS14 第6会場)

www2.c-linkage.co.jp

 

  • 参考学習資料

ブログ:VBP的診療推論. http://vbp.hatenablog.com

Facebook page : https://www.facebook.com/VBPed/

書籍:大西弘高, 尾藤誠司. 価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス. MEDSI.

  • 書籍の購入は必須ではありませんが、お持ちの場合はご持参ください。
  • ブログはご受講前にご覧ください。

第3回 VBP実践ワークショップ in 広島 御礼

本日、第9回日本医療教授システム学会総会教育企画として第3回VBP実践ワークショップが開催されました。今回も、医師・看護師・作業療法士などバラエティーに富んだ職種の皆様にご参加いただき、下記の目標とコンテンツで開催しました。

 

ワークショップの目標

  1. VBPの10のプロセスを理解する
  2. 価値の多様性を理解できる
  3. 患者の価値を引き出すスキル(ICE-StAR)の重要性を知る
  4. VBPにおける多職種での議論が有用であると知る

コンテンツ

レクチャー「価値に基づく医療の概要と10のプロセス」 

事例検討(前半)

レクチャー「ICE-StAR」

事例検討(後半)

FB pageでWSの様子をご覧いただけます。

 

参加者の皆様のご感想

「価値の大切さに気づいた」

「ICE-StARは自分の診療に活かせると思った」

「今まで見ていなかった医療の面について考えるべきことがあることがわかった」

「事例を通じで体感できたのが良かった」

 

積極的なご参加、ご議論を頂くともにWSに高い評価も頂き主催者も大変嬉しく思っております。回を重ね、WSの完成度も高まったと感じる一方、新しい内容、事例に挑戦しようとも思っております。次回はプライマリケア連合学会(高松)でのプレカンファランスワークショップでの開催となります。事前登録が開催されましたら、本ブログで通知申し上げます。

今後も、価値に基づく診療を皆様と一緒に学んでいければと思っております。

意思決定におけるパートナーシップ〜ディスセンサス〜

 今回は、VBPの10プロセスの最後、「パートナーシップ」である。

ここでのキーワードは「ディスセンサス」に尽きる。一般に、会議などの議論の場では、そのテーマについての「コンセンサス」が得られることが主眼とされる。議論をかわす過程で、それぞれの考え(価値)の中で共通した事柄を抽出し、共通認識とすることがコンセンサスである。これは、Evidence based Practiceと親和性が高いことが感覚的に理解できる。例えば、5年ごとに改定される各国の蘇生ガイドラインの基となる、国際的なエキスパートが最新のエビデンスを集めて議論を重ねて作成する文書は"Consensus on Science with Treatment Recommendations"と名付けられている。これらは、それぞれのエビデンスや専門家の意見の共通項を結集したものであり、共通しなかった事柄に言及されることはない。価値という観点から論じると、コンセンサス形成の過程では、それぞれの価値の差異が解消されることを意味する。

 一方、VBPにおけるディスセンサスは、お互いが同意できないことについて合意することを意味し、価値の差異はそのままに、それぞれの特異的な状況に応じてバランスをとることである。

 最小公倍数と最大公約数との関係に例えるとわかりやすいかもしれない。映画「君の名は」の主題歌を歌うRADWIMPS「最大公約数」という歌にこんなフレーズがあります。

「何を求めるでもなく 意味を添えるでもなく つまりは探しにいこう 二人の最大公約数を 僕は僕で君は君 その間には無限にあるはずだよ 二人だけの最大公約数」

 VBPは当人のケアに関わるすべての人の価値の最大公約数を探しにいくプロセスと言っても良いでしょうか。

 

 さて、ここでVBPの10のプロセスを振り返ってみます。まず、4つの臨床スキル(気づき・推論・知識・コミュニケーション)を用いて価値情報を集め、次いで、専門職同士の関係性(当人の価値中心の医療・多職種チームワーク)の中で議論を深め、科学とVBP(二本の足の原則・軋む車輪の原則・科学主導の原則)の中でエビデンスや科学とのバランスを熟考する。そして、ディスセンサスに基づいたパートナーシップにより到達点(落とし所)を模索する、というのがプロセスとまとめることができる。

 今回で、10のプロセスの概説を終えることができました。読者の皆様ありがとうございます。本ブログのアクセス数ももう少しでなんと10,000に達します。

今後は、本ブログタイトル通り、「臨床推論」について考えていきたいと思っています。

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