VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

VBPの学習リソース

今回は、皆様がVBPをご自身で学ばれる資料の御紹介です。

1. 書籍. 価値に基づく診療.
 ご存知の通り、VBPのバイブル的な本です。

 なかなか読み応えのある本ですが、読み方のおすすめとしては、

  •  3章の「VBPの概念的枠組み」
  •  末尾の付録A「VBPの概念と重要語句の定義」

 を先に目を通すと、他の部分が読みやすくなるかと思います。

2.WEB. The Collaborating Centre for Values-based Practice.

 上記書籍の原著の著者らが作成しているサイトです。

 この中で紹介されているTraining Materialsは非常に有用です。

3.総説論文.

Petrova M et al. Values-based practice in primary care: easing the tensions between individual values, ethical principles and best evidence. Br J Gen Pract. 2006; 56(530):703-9.

 freeでアクセス可能なVBPの総説です。概念が簡潔にまとめられています。

4. 講演. 第92回東京大学医学教育セミナー.尾藤誠司先生「価値と関係性に基づく医療」

 1の書籍の監訳者でいらっしゃる尾藤先生の講演の動画が公開されています。

 非常に興味深い内容が、軽快な語り口で論じされています。

 

こちらのブログは開設後のべ2500アクセスを頂いております。

FB pageとも合わせまして、今後ともよろしくお願い致します。

(FB に「いいね」頂きますと、ブログの更新が迅速にお知らせできると思います。)

満員御礼:第1回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップ参加者募集終了のお知らせ

第1回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップは、お陰様を持ちまして、参加希望が定員に達しましたので、募集を終了させて頂きました。

多数のご応募誠にありがとうございました。

 

秋以降にも2回目のワークショップを計画しております。

今回、参加頂けなかった皆様におかれましては、こちらのブログをチェック頂くか、Facebook pageを「いいね」頂くと、募集案内された際にスムーズにお知らせが届くかと存じます。

 

また、お陰様を持ちまして本ブログは述べ2000を超えるアクセスを頂いております。

ブログは、毎週水曜日に更新しておりますが、

今後も皆様とともにVBPを学んで行ければと考えております。

どのようにして患者の価値を聴き出すのか?〜キラリと光るICE-StARの尋ね方〜

  •  前回前々回で、価値を引き出すスキルとしてICE-StARを事例をもとにご紹介した。

「では、どのようにしてICE-StARを聴き出すのか?」と疑問に思われた方も多いとだろう。そこで、今回は医療面接でのICE-StARの具体的な尋ね方をお示ししたい。

 

Ideas(考え)

  • どのようにして今の状態に至ったとお考えですか?
  • 今の状態は治療を要すると考えていらっしゃいますか?

Concerns(心配)

  • 今の状態を抱えての生活に、どんな心配がありますか?
  • 治療の選択肢について、どんな心配がありますか?

Expectations(期待)

  • あなたの担当医療職として、私にどのようなことを期待されていますか?
  • 医療関係者にどのようなことを期待されていますか?

 

Strengths
(強さ)

  • 自慢できるようなスキルはありますか?
  • 人生においてこれがあったから、これまでやって来られたというものはありますか?
  • ケアにおいてこれがあったから、これまでやってて来られたというものはありますか? 

Aspirations
(志)

  • どのようになりたいですか?
  • 今後10年の間に何を成し遂げたいとお思いですか? 

Resources
(資源)

  • あなたのケアを手伝ってくださるご家族やご友人はいますか?
  • スピリチュアル、宗教的、文化的などのコミュニティと何らかのつながりを持っていますか? 

 

 また、Peter Tateが情報を引き出すスキルとして紹介しているチェックリストも有用である。(Tate. The Doctor’s Communication Handbook,1994; pp.67-68.)

  • 患者に合わせた言葉遣いをする。見下した表現をしない。専門用語の使用は避ける。
  • 最初の時点で,患者は常に正しいことを忘れない。
  • まず患者に話してもらう。
  • よい質問となるようないい方をする。例えば「○○○かどうか知りたいと思っていたのですが…?」というような方法でたずねる。
  • オープンクエスチョンで、例えば「◯◯について話していただけますか?」というように聞く。これは患者の考えや価値を知るのに役立つ。
  • クローズドクエスチョンで聞く。これは事実を知りたいときに便利である。
  • 話を促す。例えば「(話)を続けて」というように。アイコンタクトや頷きなども患者にとっては促しとなる。
  • 患者が言ったことを確認する
  • 質問をする理由を説明する
  • 沈黙を使う。間をとる。しばらく黙って待っていると患者は必ず話し始める。