VBPプロセスの10要素
今回は、VBPの実践手法を「VBPプロセスの10要素」として紹介したい。
VBPの手順は図のように概観することができ、「前提」、「プロセス」、「到達点」という3つの相に分けられる。VBPの前提とは、異なる立場の当事者が、それぞれの価値に対して敬意を持って接することである。そして、到達点とは共有された価値という枠組みにおけるバランスのとれた意思決定である。
したがって、当事者たちがこの前提を共有し、到達点に向かって協調しながら、プロセスを経ていくことが求められる。
VBPではこのプロセスは以下の10の要素に集約され、体系的にアプローチすることが可能となっている。
- 4つの臨床スキル
1. 価値への気づき:自身と他者の価値に気づく
2. 推論:事例検討などにより、自身や他者の価値について省察する
3. 知識:価値に関わる情報源を検索し問題解決を図る
4. コミュニケーション技法:患者の価値を探るための情報である
ICE-StARという枠組みを用いたコミュニケーション
- 専門職同士の関係性に関わる2つの側面
5. 当人中心の診療:サービス利用者(患者+健康人)やその家族の
価値に配慮する
6. 多職種チームワーク:チームメンバーの多様性ある価値の視点を
重視し,バランスをとる
- EBMとの3つの関連性
7. 二本の足の原則:エビデンスを考えるときは価値も同様に考える
8. 軋む車輪の原則:価値を考えるときにエビデンスを考えることも
忘れない
9. 科学主導の原則:先進医療領域ではエビデンスと価値の統合が重要
- 意思決定における合意形成
10. パートナーシップ:互いに同意できないことに関して合意する
(ディスセンサス [dissensus])ことを通じてパートナーシップを
形成する
VBPのプロセスは、以上の10の要素で構成される。今後、ぞれぞれの要素を具体的に解説していくこととする。