VBP的臨床推論

価値に基づいた診療(Values Based Practice: VBP)を学ぶ

第2回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップ参加者募集のご案内

 今回は、第2回 VBPワークショップのご案内でございます。

(「当人中心の医療 」続編を期待されていた皆様、恐れ入ります!)

  • 日時

平成28年12月7日(水)18:00~21:00(17:30受付開始)

  • 会場 

東京大学医学部総合中央館(医学図書館)3F  センター研究第1室(M1室)

 http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_01_j.html

  • 募集人数

医師・歯科医師の方 8名

医師・歯科医師以外の医療福祉系専門職の方 8名

  • 参加費

1000円(軽食・飲物代として)

※ 軽食・飲物を準備致します。

  • 概 要

 VBP(values-based practice:価値に基づく診療)は、患者医師関係において行われる臨床上の意思決定を改善する方法論です。

 EBMを重要なパートナーとしながら、NBM、臨床倫理やプロフェッショナリズムといった分野を包含します。またコミュニケーション技法を重要なスキルとして、治療やマネジメントに関する臨床推論にも適応可能とされています。 

 このワークショップは、参加者の皆様がVBPの10のプロセスを習得し、明日からの実臨床に応用できることを目標として企画されています。

 前回の様子は、こちらをご覧ください。

 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

  • オーガナイザー

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 講師 大西弘高

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 客員研究員 野村理

  • 参加登録

参加をご希望の方は、メールで、

 segawa-seiko@umin.ac.jpまで、以下をご記入の上お申込みください。

  1. ご氏名(ふりがな)
  2. ご所属
  3. 専門分野
  4. 卒後年数
  5. メールアドレス
  • 参考学習資料

ブログ:VBP的診療推論. http://vbp.hatenablog.com

Facebook page : https://www.facebook.com/VBPed/

書籍:大西弘高, 尾藤誠司. 価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス. MEDSI.

  • 書籍の購入は必須ではありませんが、お持ちの場合はご持参ください。
  • ブログはご受講前にご覧ください。

【主催・連絡先】

東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター

〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1 医学部 総合中央館 2F

電話: 03-5841-3583 (担当:瀬川)

E-mail: segawa-seiko@umin.ac.jp

当人中心の診療 Part 1

 これまでは、VBPの10のプロセスのうち、4つの臨床スキルに焦点を当て学んだ。次のステップとして、専門職同士の関係性に関わる2つの側面が位置付けられ、これは当人中心の診療多職種チームワークから成る。今回から4回に分けて、当人中心の診療についてご説明したい。

 当人中心の診療と聞くと、家庭医療学における方法論である「患者中心の医療(patient-centered medicine)」を思い浮かべる方も多いかもしれない。患者中心の医療というモデルは、1980年代にカナダのウェスタン・オンタリオ大学のStewartとMcWhinny らにより開発された以下の6つ要素から構成される臨床手法である。

1.疾患と病い両方の経験を探る

2.地域・家族を含め全人的に理解する

3.共通の理解基盤を見いだす

4.診療に予防・健康増進を取り入れる

5.患者−医師関係を強化する

6.実際に実行可能であること

 

 さて、VBPにおける当人中心の診療とは、当人の価値中心の診療(person-values-centered practice)を指す。そして、当人とは患者(patient)だけでなく、患者に関わるすべてのそれぞれの人(person)を指す。すなわち、患者の価値に注目すると同時に、関係する人々(医師、看護師をはじめとするその他の医療従事者、患者家族など)の価値に気づき、それを反映する診療を実践することである。したがって、患者とその周囲の人々の価値に焦点を当てているという点から、VBPにおける当人中心(person-centered)という考え方は患者中心(patient-centerd)という姿勢を内包する概念とも言えるかもしれない。 

 当人の価値中心の診療のためには、相互理解(mutual understanding)を促し、価値の対立(conflicting values)に対応することが求められる。

 相互理解を達成するためには、これまでご紹介した4つの臨床スキルが効果を発揮する。しかし、それだけでは十分ではなく、今後ご紹介する「多職種チームワーク」、「パートナーシップ」を通じて価値の対立を解決することで、当人の価値中心の医療に向かうことができるとされる

 次回は、身近な事例を通じて、VBPにおける当人中心の診療について考えたい。

参考文献)

Patient-Centered Medicine: Transforming the Clinical Method – 2nd Ed. Stewart, M. Brown, JB et al. 2003.

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第1回 VBP実践ワークショップの終了のご報告と御礼

 本日、第1回 価値に基づく診療(Values-based practice)実践ワークショップが開催され、20名の皆様にご参加頂きました。

などを参加型コンテンツとしました。また、

といったコアレクチャーを織り交ぜまがら、VBPを実践するワークショップとなりました。参加者の皆様に活発にご議論を頂き、また積極的なご質疑を頂き、運営側も多くの学びを得ることができました。厚く御礼申し上げます。

 参加者の皆様からは、事後アンケートで高い評価をいただくとともに、

「ICE-StARが有効なことが分かった」

「個人による価値の多様性を実感できた」

「VBPをより深く学びたいと思った」

といったコメントを頂きました。

 また、ワークショップの改善点につきまして建設的なご意見も頂きました。

よりよりワークショップに向けて、コンテンツ等さらに改善して参ります。

 次回は、12月の開催を計画しております。こちらのブログFB pageにて募集致しますので、今回ご参加頂けなかった皆様は定期的にチェック頂ければと思います。

 この度はありがとうございました。今後も、価値に基づく診療を皆様と一緒に学んでいければと思っております。